- 住宅ローンの繰り上げ返済をしたい
- 「期間短縮型」と「返済額軽減型」どちらの方法を選べばいい?
- 賢い繰上げ返済のタイミングとは?
こんなお悩みを解決します。
住宅ローンは通常35年間など、長期にわたってローンを組み返済していくことになります。
35年もの長期に渡って住宅ローンを支払っていては、支払わなければならない利息も多く、また完済時にしっかり収入を得られているかどうか心配な方も多いでしょう。
そこで活用したいのが繰上返済です。
今回は繰上げ返済について、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの種類を解説するとともに、実施のタイミングの際に考えるべきことなどご紹介します。
■この記事の執筆者
- 金融機関と住宅会社に勤務経験のある独立系FP
- 年間100棟以上販売する住宅会社で営業部長の経験あり
- Webライターとして不動産関連・金融関連の記事を年間500記事以上執筆
金融機関や住宅会社に勤務経験があり、その後FPとして独立。専門性を活かし、金融や不動産関連の記事を年間500記事以上執筆しています。
住宅ローン全般に関しては以下記事で解説しています。

繰上返済には2つの方法がある?
繰上返済は、毎月の住宅ローンの返済の他に、まとまった資金を返済することでローンの残債を減らす方法のことです。
住宅ローンの毎月の返済は元金と利息を両方支払いますが、繰上返済では元金のみ返済となるため、住宅ローンの総額を減らせると共に大きく利息を減らすことが可能となります。
繰上返済には借入期間を減らす「期間短縮型」と、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」の2つの方法があります。
繰上返済の「期間短縮型」とは
繰上返済の内、「期間短縮型」では繰上返済をすることで住宅ローンの借入期間を短縮することができます。
月々の返済額は繰上返済の前後で変わりませんが、借入期間を短縮することで完済を早めることができるため、住宅ローンの借入期間が定年を超えているような場合には期間短縮型を選んでおきたいところです。
また、期間短縮型では住宅ローンの借入期間を短縮することで、返済額軽減型より、住宅ローン利息の総支払額を減らすことができます。
繰上返済の「返済額軽減型」とは
繰上返済の内、「返済額軽減型」では繰上返済をすることで住宅ローンの月々返済額を減らすことができます。
借入期間は変わりませんが、毎月の返済額を減らすことができるため、お子様の進学などで毎月の支払いが厳しくなったと思っている場合に利用したい方法です。
返済額軽減型では、利息の総支払額の軽減効果は期間短縮型より小さくなります。
繰上返済のベストなタイミングは?
繰上げ返済は住宅ローンの返済をし始めてから、「できるだけ早いタイミング」で返済できればその分、支払う利息が少なくて済みます。
今はインターネットを利用すれば繰上げ返済の手数量が無料の金融期間も多く、こまめに繰上げ返済を繰り返せばお得にローンを返済していくことができます。
住宅ローンには住宅ローン控除や団体信用生命保険があるため、それらを含めて考えると「できるだけ多く借り、繰上げ返済はしない方が良い」事もあります。
住宅ローン控除を最大限活用しよう
住宅ローン控除は、住宅ローンの残債の0.7%を10年間(あるいは13年間)に渡り所得税と住民税から控除できるという制度で、残債が多ければ多いほどたくさんの控除を受ける事ができます。
繰上げ返済をすると住宅ローンの残債は減ってしまうため、住宅ローン控除のある10年間は繰上げ返済をしない方がお得です。
なお、住宅ローン控除については以下記事で詳しく解説しています。

団体信用生命保険をどう考える?
住宅ローンには、通常返済中に死亡した場合住宅ローンの残債が0円となる団体信用生命保険がついてきます。
中にはガンや脳卒中、糖尿病などの病気をカバーしている保険もあります。
団信が適用されると、残された奥様やお子様には土地と建物が残り、住宅ローンの返済は無くなるため生活の心配をしなくて良くなるばかりか、いざという時には土地と建物を売却して資産とすることも可能となります。
この団体信用生命保険の効果は住宅ローンの残債が多ければ多いほど高いです。
仮に途中で繰上げ返済を繰り返し、手元に残った現金が少なくなれば、団体信用生命保険で残債が0になった後、土地建物は残るものの現金を残すことはできなくなってしまうでしょう。
団体信用生命保険は利用されないのが一番良いですが、繰上げ返済を検討しているのであればこうした、団体信用生命保険の効果についても考慮しておいた方が良いでしょう。
まとめ
住宅ローンでは、5年や10年など数年毎に金利の再選択をする固定金利選択型や、半年ごとに金利の改定がある変動金利などさまざまな金利タイプがあります。
金利の上昇するタイミングで完済するように期間短縮したり、金利上昇によって上がった負担を軽減するために返済額軽減したりするなど繰上返済を効果的に使っていくことで安心して住宅ローンを返済していくことができます。
また、住宅ローンの繰上返済はできるだけ早くしたほうが金利の総支払額が安くなりますが、住宅ローン控除や団体信用生命保険まで含めて考えると必ずしもそうならないこともある点に注意が必要です。
本記事の内容を参考になさったうえで、最もお得になるよう、総合的に判断することをおすすめします。
明治学院大学卒業。金融機関と住宅会社に勤めた後にそれらの経験を活かしたライターとして独立。2020年に合同会社7pocketsを設立しました。FP2級技能士(AFP)、宅建士