- 住宅ローン審査の種類について知りたい
- 事前審査と本審査の違いを知りたい
- 事前審査と本審査それぞれで必要な書類について知りたい
こんなお悩みを解決します。
住宅ローンの審査には事前審査と本審査があるのをご存知でしょうか。
事前審査は収入や物件情報などの資料だけで審査を受けることができる簡易的なもので、お家の購入契約前に審査を受けることができます。
一方、本審査は原則、お家の契約後に全ての資料を揃えて審査を受けるものです。
本記事では、これら、事前審査と本審査についてそれぞれの違いや必要書類など解説します。
■この記事の執筆者
- 金融機関と住宅会社に勤務経験のある独立系FP
- 年間100棟以上販売する住宅会社で営業部長の経験あり
- Webライターとして不動産関連・金融関連の記事を年間500記事以上執筆
金融機関や住宅会社に勤務経験があり、その後FPとして独立。専門性を活かし、金融や不動産関連の記事を年間500記事以上執筆しています。
住宅ローン全般に関しては以下記事で解説しています。

住宅ローンの事前審査と本審査とは?
お家の購入を決めるにあたり、全て現金で用意できる場合や会社から融資を受けられる場合など特殊な場合を除きほとんどの方が住宅ローンを利用することになるでしょう。
気に入ったお家や土地が見つかっても住宅ローンが借りられなければ購入することができません。
しかし、住宅ローンの本審査は原則、お家の購入契約後にしか審査を受けることができません。
このため、土地を探し、間取りを決め、手付金も支払った後で住宅ローンの審査が否決となってしまい、全てやりなおしとなってしまっていたのでは大変です。
そこで、ほとんどの銀行では事前審査制度を用意しています。
住宅ローンの事前審査は収入や物件情報など簡単な情報で審査を受けることができるものです。
通常、土地や間取りの検討段階で住宅ローンの事前審査を受け、承認を得られたら契約を結び、契約後に本格的な本審査を受けることになります。
住宅ローン本審査の審査内容
実際の審査方法は、銀行により異なりますが、基本的に本審査では事前審査より詳しく審査されます。
具体的には、借りる人の年収や勤務形態(正社員やパートなど)をチェックされる他、融資対象となる住宅の価値や、生命保険の審査、保証会社の審査も受けることになります。
住宅の価値(不動産の担保評価)
住宅ローンは融資を受けると同時に不動産に抵当権が設定され、住宅ローンの返済が滞った場合には物件が差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。
競売により得られた売却資金で残金の回収をはかるのです。
そのため銀行は、住宅ローンの審査で融資対象となる住宅の価値が残金を回収できるかどうかをチェックするという訳です。
住宅ローンでは担保評価の審査はそこまで厳しくありませんが、資産価値の付きにくい場所に住宅を建てる場合には注意が必要です。
生命保険 (団体信用生命保険)の審査
住宅ローンには、住宅ローン返済中に不幸にも亡くなってしまった場合に備えて、亡くなった場合は残債が0円になる団体信用生命保険が付いているのが一般的です。
銀行の住宅ローンでは団体信用生命保険の保険料は金利に含まれていることが一般的で、また加入が原則となっています。
借りる側としても嬉しい制度ですが、銀行としても返済途中で借りた人が亡くなってしまえば残金を回収できない可能性が高くなるから、と見ることもできます。
そのため過去に大きな病気をした場合などで保険会社の承認を得られなければ、住宅ローンの審査も否決となってしまいます。
保証会社の審査
銀行は、住宅ローンの返済が滞った場合には保証会社にその債権を買い取ってもらうことで残金を回収するため融資時に保証会社をつけることが条件となっていることが多いです。
住宅ローンの事前審査では銀行だけで審査されることが多いですが本審査では銀行での審査に加えて、保証会社の審査を受ける必要があります。
銀行の審査ではOKなのに、保証会社の審査が否決となってしまうこともあります。
この辺りは住宅ローン審査の窓口となっている銀行に聞いてもはっきりとした理由が分からないこともあります。
住宅ローン事前審査の審査内容
一方、事前審査ではどのような点が審査されるのでしょうか。事前審査の審査内容についても、金融機関により大きく異なります。
中には、本審査と同じように審査するケースもありますが、一般的には、本審査より簡単な審査で、審査期間も短くなります。
審査内容については、本審査と同じく、担保評価など見られますが、特に重要といえるのが、個人信用情報についてです。
過去に延滞などある場合には、事前審査の段階で否決となるでしょう。
審査で否決になった理由は、金融機関からは具体的に教えてもらえないこともありますが、過去に延滞などした可能性がある場合には、個人信用情報を取り寄せるといったことも検討するのがおすすめです。
事前審査の承認を早く受けておくのがオススメ
住宅ローンの審査は最終的に本審査の承認を受けなければなりませんが、本審査を受けることができるのは、一般的に土地建物契約を締結した後となります。
住宅ローンの事前審査は、土地や建物をまだ完全には決めていないが、自分が住宅ローンの審査に通るかどうか調べたいと言う場合にも提出することができます。
一般的に、住宅ローンの事前審査では個人信用情報や返済負担率を中心に審査されるため、これらの条件を満たしていれば事前審査は難なく承認となるでしょう。
しかし、例えば携帯電話の分割払いやクレジットカードの借入枠など本人が気づかないところで個人信用情報に情報が登録されていて、それが原因で否決となってしまうこともあるので、できるだけ早めに事前審査を受けておくことをお勧めします。
事前審査の承認を得ておくと買主からの印象がよくなる
事前審査の承認を得ておくと、住宅を探すにあたり、気に入った土地や建物が見つかり、購入の意思表示をした際に売主に対して印象が良くなります。
土地や住宅はこの世に1つしかなく、気に入った物件が見つかった場合でも他に契約が決まっていれば購入することはできません。
ただ、同時期に複数人から購入希望の意思表示を受けた場合、売主はその中から売る相手を選びますが、その際に住宅ローンの審査にすでに通っているということは大きなアドバンテージとなります。
住宅ローンの事前審査と本審査で用意する書類
住宅ローンの事前審査に必要なものは金融機関によって異なりますが、概ね以下の書類を揃えれば大丈夫です。
- 住宅ローン事前審査申込書
- 源泉徴収票(確定申告書の写しや所得証明書)
- 運転免許証等の身分証明書
- 健康保険証
上記だけで大丈夫な金融機関も多いですが、さらに以下の書類を揃えると万全です。
- 物件資料(謄本、字図、測量図、物件地図等)
- 既存借入金返済予定表
- まとまった残高のある預金口座通帳等
本審査にはこれらに加えて売買契約書や重要事項説明書、建物請負契約書を提出する他、必要なものがあれば金融機関から連絡があり、その都度提出していくことになります。
まとめ
住宅ローンの審査を受けると聞くと大それたことのように聞こえるかもしれませんが、事前審査であればお家の購入契約前に審査を受けることができ、また審査の承認を得たとしても必ずしもその銀行でお金を借りなければならないわけでもありません。
住宅ローンの事前審査は今回お伝えしたように早く受けた方がお得となることも多いので、お家づくりを考えているのであれば早めに受けておくことをおすすめします。
明治学院大学卒業。金融機関と住宅会社に勤めた後にそれらの経験を活かしたライターとして独立。2020年に合同会社7pocketsを設立しました。FP2級技能士(AFP)、宅建士