不動産を売却する際、契約書類や広告書類には面積を記載しなければなりませんが、面積の表示方法にはいくつかの種類があることをご存知でしょうか。
例えば建物の場合、延床面積や建築面積、建坪、専有面積や内法面積、壁芯面積などいろいろな種類があり、これらを正しく理解していないと正しく面積を把握することができません。
今回はこうした面積の種類について解説します。
■この記事の執筆者
- 金融機関と住宅会社に勤務経験のある独立系FP
- 年間100以上度販売する住宅会社で営業部長の経験あり
- Webライターとして不動産関連・金融関連の記事を年間500記事以上執筆
金融機関や住宅会社に勤務経験があり、その後FPとして独立。専門性を活かし、金融や不動産関連の記事を年間500記事以上執筆しています。
面積の呼び方はいろいろある
面積について説明を受ける際、延床面積や建築面積などさまざまな言葉が出てきて、何を指すのか分からないと思った事のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下で、それら面積を表す言葉について説明します。
延床面積と建築面積、敷地面積、施工床面積について
延床面積は建物の各階の床面積の合計、建築面積(建坪)は建物を真上から見た時の水平投射面積のことを言います。
一般的に建物の面積を示す際には延床面積を使うことが多いですが、延床面積は容積率の計算に、建築面積は建ぺい率の計算に用います。
また、敷地面積は建物が経っている土地の面積のことを言います。
さらに、延床面積で除外した部分(玄関ポーチとバルコニーの先端から2mまでの部分、小屋裏収納やロフトなど)も全て含めた施工床面積と言うものもあります。
- 建築面積=水平投射面積(建ぺい率の計算に使う)
- 延床面積=各階の面積の合計(容積率の計算に使う)
- 敷地面積=土地の面積
- 施工床面積=延床面積の除外部分も含めた面積
建築面積は建ぺい率の計算に用います。建ぺい率については、以下記事で詳しく解説しています。

専有面積と共用面積について
専有面積はマンションの面積の内、専有部分(それぞれのお部屋)の面積を指す言葉です。
マンションには主にお部屋などの生活部分のことを指す専有部分と、玄関や廊下など住人全員のエリアを指す共用部分があります。
この内、専有面積は専有部分の面積のことを指し、共用面積は共用部分の面積のことを指します。
- 専有面積=専有部分(各部屋)の面積
- 共用面積=共用部分(廊下や玄関ロビーなど)の面積
内法面積と壁芯面積について
専有面積の計算方法には内法面積と壁芯面積の2つの計算方法が有ります。
内法面積は壁の内側の面積で、壁芯面積は壁の中心線を囲んだ面積のことを指します。
マンションの広告用のパンフレットに記載されている専有面積等は壁芯面積で表記され、法務局で取得できる登記簿謄本に記載のある面積は内法面積で表記されます。
建築基準法では、壁芯面積での表記をすることになっており、不動産登記法では謄本に内法面積を表記することになっているからです。
内法面積より壁芯面積の方が少し面積が大きくなりますが、契約書や登記簿謄本では小さい内法面積が表記されるため、注意が必要です。
- 内法面積=壁の内側を結んだ面積(建築基準法)
- 壁芯面積=壁の中心線を結んだ面積(不動産登記法)
坪数について
不動産のチラシやパンフレットには坪数の記載があることがあります。
坪数は、㎡を3.3で割るか、0.3025を掛けると算出することができます。
例えば、100㎡の土地であれば100㎡×0.3025=30.25坪となります。
一方、3.3で割ると30.30坪となり、0.3025を掛けるのと3.3で割るのとでは少し坪数が異なることになりますが、どちらを使っても構いません。
ただし、どちらかを統一して使うようにしましょう。
まとめ
面積の種類についてお伝えしました。
建物の面積には、壁の中心で面積を測る壁新面積と、壁の内側で面積を測る内法面積があります。
住宅ローン控除を受けるための面積要件では内法面積が適用されるため、その違いを理解しておかないと失敗につながる可能性もあるので注意が必要です。
住宅ローン控除については以下記事で解説しています。

明治学院大学卒業。金融機関と住宅会社に勤めた後にそれらの経験を活かしたライターとして独立。2020年に合同会社7pocketsを設立しました。FP2級技能士(AFP)、宅建士