住まい関連

住宅ローン控除とはどんな制度?税金を納めていないと還付されないってほんと?

住宅を購入する際、一定の要件を満たして住宅ローンを利用すると、年末残高の1%が10年間に渡り還付される住宅ローン控除を利用することができます。

今回は住宅ローン控除制度の概要や条件、注意点について解説します。

■この記事の執筆者

  • 金融機関と住宅会社に勤務経験のある独立系FP
  • 年間100棟以上販売する住宅会社で営業部長の経験あり
  • Webライターとして不動産関連・金融関連の記事を年間500記事以上執筆

金融機関や住宅会社に勤務経験があり、その後FPとして独立。専門性を活かし、金融や不動産関連の記事を年間500記事以上執筆しています。

FP逆瀬川
FP逆瀬川
住宅ローン控除は最大で数百万円分も控除を受けられる非常にお得な制度です。住宅購入を検討されている方は制度内容をしっかり理解しておくことが大切です。

住宅ローン全般に関しては以下記事で解説しています。

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住宅ローン控除について解説

住宅ローン控除は一定の条件を満たす住宅を購入する際に住宅ローンを利用すると、10年間(条件次第では13年間)その年末残高の1%の還付を受けられる制度です。

還付額には条件が設けられており年末残高4,000万円までとなっています。

国土交通省 すまい給付金のサイトより

例えば、住宅購入にあたり3,000万円の住宅ローンを借り入れた場合にはその1%=30万円が10年間還付されます。

ただし、対象となるのは各年の年末残高のため、毎年還付額は少しずつ減っていきます。

一般住宅購入にあたり5,000万円の借り入れをしたような場合には上限額の4,000万円までが対象となり、その1%=40万円が還付の限度となります。

還付を受けられるのは納めた分だけ

ただし、注意しなければならないことは住宅ローン控除はあくまでも税金の還付であるため、そもそも税金を納めていなければ還付を受けられないということです。

例えば、年収400万円で3,000万円の住宅ローンを借りた場合、年収400万円だと納めている税金はおよそ8万円程度です(配偶者控除や生命保険料控除等、人により異なります)。

この場合折角30万円の還付を受けられる権利を持っているのにも関わらず、8万円の還付しか受けられないことになってしまいます。

所得税から還付できない分は住民税から還付を受けることができる

住宅ローン控除は所得税から還付した後、まだ控除の残額がある場合、住民税から控除を受けることができます。

もちろん、住民税も納めていない分については還付を受けることができませんが、年収400万円の人で17万円程度と年収700万円程度までは住民税より所得税を多く納めています。

ただし、住民税から還付を受けるのには13.65万円という上限が設けられています。

つまり、上記計算で考えると年収400万円の人は8万円+13.65万円=21.65万円の還付を受けられることになります。

住宅ローン控除は夫婦別々に利用できる

住宅ローン控除は、上記のように還付額が納税額を上回ってしまうと折角の権利を有効活用できません。

そこで、連帯債務者や連帯保証人として奥様と一緒に住宅ローンを組むことで、夫婦別々に住宅ローン控除を利用し、合計で還付を受ける方法も考えられます。

ローンの割合もある程度自由に決めることが可能です。

例えば4000万の住宅ローンを組む場合は3000万円をご主人、1000万円を奥様と分ければ、ご主人が年間30万円分までの税金の還付の権利を、奥様が10万円分までの税金の還付の権利を得ることができます。

奥様の債務の割合を考える際には産休や育休も考慮する

住宅ローン税額控除は住宅ローンを組んでから10年間税額の還付を受けられる制度ですが、産休や育休で働いていない期間もその枠を消費してしまうことになります。

産休や育休、子育てに専念するための休職期間を考えている場合には注意しておきましょう。

贈与にあたるケースもあるので注意

債務の割合を決める際には、ご夫婦の年収と債務の割合とのバランスに注意が必要です。

例えばご主人が年収300万円で奥様が年収600万円といった場合、奥様の将来の産休や育休の可能性を考えて、ご主人の持ち分を3000万円に、奥様の持ち分を1000万円にするといった方法は、贈与にあたるとみなされる可能性もあります。

ある程度年収と連動する程度の持ち分割合に設定するよう留意する必要があります。

団体信用生命保険にも注意

また、利用する金融機関にもよりますが、住宅ローン控除を夫婦で受けるにあたりローンを夫婦で分けると、団体信用生命保険も分けた額のみの適用となってしまうこともあるので注意が必要です。

例えば、4,000万円の住宅ローンでご主人を2,000万円、奥様を2,000万円としたような場合には、それぞれ20万円までの住宅ローン控除を受けられますが、返済途中でご主人が亡くなると2,000万円までしか団体信用生命保険の適用を受けられなくなる可能性があります。

住宅ローン控除と団体信用生命保険のバランスを見て借入額を決めると良いでしょう。

FP逆瀬川
FP逆瀬川
住宅ローン控除は毎年数十万円の控除を受けられるもの。必要に応じて夫婦合算で住宅ローンを組むことを検討するなど、一番お得になる方法を探ってみるとよいでしょう。

住宅ローン控除の条件

住宅ローン控除の適用を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。

住宅の床面積(登記簿面積)が50㎡以上

住宅ローン控除を受けるためには、購入する住宅の床面積が50㎡以上である必要があります。

この面積要件は登記簿によって確認できますが、中古マンションのパンフレットなどは壁芯面積といって登記簿の面積より広く表示されていることがあるため、購入前に登記簿で面積を確認しておくようにしましょう。

壁芯面積については以下記事で解説しています。

内法面積や壁芯面積など「面積の種類」について解説 不動産を売却する際、契約書類や広告書類には面積を記載しなければなりませんが、面積の表示方法にはいくつかの種類があることをご存知でしょう...

築年数要件

中古住宅購入の場合、築年数にも要件が設けられています。

具体的には、マンションなど耐火建築物の場合で築25年以内木造住宅の場合で20年となります。

上記要件を満たさない場合控除を受けることはできませんが、耐震基準を満たすことの証明書がある場合や、購入後に耐震改修工事を受けてその証明書を取得できた場合には条件を満たすこととなります。

住宅ローンの返済期間が10年以上であること

住宅ローン控除を受けるためには借入する住宅ローンの返済期間が10年以上である必要があります。

その他、以下のような要件もあります。

  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 住宅を取得後6カ月以内に入居し、12月31日まで入居していること

繰上返済に注意

「住宅ローンの返済期間が10年以上であること」は、借入時だけ満たしていれば良いわけではありません。

住宅ローン実行後、繰上返済により総返済期間が10年を割ってしまった場合にはその年以降控除を受けられなくなってしまうため注意が必要です。

取得後すぐに住まない場合に注意

取得後6ヶ月以内に入居すること、が要件となっていますが、転勤等を理由に住宅を購入したが、引っ越しは半年後、といったケースには注意が必要です。

例えば10月に住宅ローンを実行して、年をまたいで翌年の3月に引っ越した、といった場合には、初年度の控除を受けることができず、10回受けられるはずの控除を9回しか受けられなくなってしまいます。

年を越すまで待って住宅ローンを実行するか、同じ半年でも7月に実行して12月末までに住む等住宅ローン実行と引っ越しを同年内にすることで控除を受けることができます。

住宅ローン控除の手続き

住宅ローン控除の適用を受けるためには、住宅ローンを借り入れた年の翌年の確定申告(2月16日~3月15日)の間に税務署で手続きをする必要があります。

確定申告の手続きをすると、その1~2カ月後に通帳に所得税の還付金が振り込まれ、住民税は翌年の6月頃から源泉徴収の際に税金が差し引かれます。

また、2年目以降は会社に勤めている場合会社に申請書を提出すれば確定申告をする必要はありません。

2022年住宅ローン控除改正で控除率0.7%に

令和4年度の税制改正大綱において、住宅ローン控除の改正がなされることが発表されています。

特に大きなポイントとなるのが、これまで1%だった控除率が0.7%になることでしょう。

例えば、控除対象額が3,000万円だった場合、1%であれば30万円の控除を受けられていたものが、0.7%になることで21万円に減少してしまいます。

これは、金利の低い住宅ローンを組んでも1%分の控除を受けることで逆ざや状態になっていることを解消する目的があるのです。とはいえ、本記事でお伝えしたとおり住宅ローン控除はそもそも十分な年収がなければ控除を受けることはできません。

年収次第では、改正後でもそれほど大きな影響がないケースもあるでしょう。

住宅ローン控除の改正で、ご自分がどの程度の影響を受けるかについては、FPなど専門家に相談されてみることをおすすめします。

FP逆瀬川
FP逆瀬川
住宅ローン控除の控除額は年収だけでなく、扶養家族の数なども影響するため、専門家に源泉徴収票や確定申告書を確認してもらうようにしましょう。

まとめ

住宅ローン控除についてお伝えしました。

住宅ローン控除は非常に大きな額の控除を受けられるもので、住宅購入前には本記事の内容をしっかり確認しておくことをおすすめします。

また、令和4年度の税制改正対応において、住宅ローン控除の控除率を0.7%にする旨が盛り込まれました。

この改正でご自分がどの程度の影響を受けるのか、気になる方はぜひFPなど専門家にご相談されてみてください。

ABOUT ME
逆瀬川 勇造
明治学院大学卒業。金融機関と住宅会社に勤めた後にそれらの経験を活かしたライターとして独立。2020年に合同会社7pocketsを設立しました。FP2級技能士(AFP)、宅建士