「FIRE」(ファイヤー)とは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとって繋げた略語です。
- Financial [経済的な、金融の]
- Independence[独立、自立]
- Retire [引退する、辞める]
- Early [早く、早期の]
日本語訳では「経済的自立による、早期引退」と訳されるのが一般的です。
「FIRE」は昨今話題となっているキーワードであり、関連する書籍も多数出版されています。
本記事では、その中から1冊を選定し、内容を抜粋しながら「FIRE」を達成する方法について説明していきたいと思います。
「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」
今回ピックアップした書籍はこちら。
FIRE 最速で経済的自立を実現する方法著者自身が齢30歳にして、約5年で2.26ドルから125万ドル(2022年時点の価値で約1.4億円)にまで資産を増やして、FIREを達成。その具体的な方法について紹介した書籍です。
(日本円にして約330円から約1億3000万円まで資産を増やした。)
この本に書かれている内容をまとめると、以下のようになるでしょう。
ゴールは、自身の生活費を賄えるだけの資産所得を獲得できる状態になることであり、そのために自身の経済状況を適正化し、余剰資金はなるべく多くそして早期に投資に回すこと。
以下、いくつかの項目に分けて書いていきたいと思います。
Retire,Earlyのイメージを変えよう!
著書でまず初めに提唱しているのが、「Retire(引退)」に対するマインドチェンジです。
“引退”と聞いてどのようなイメージがあるでしょうか。
働くことから退き、質素な生活をして余生を送るようなイメージ?そうではなく、これからの”引退”は、もっとアクティブで楽しいものです。働くこともできるし、働かないことも選択することができる。
自身がいいなと思った仕事を、いいなと思ったタイミングで、自身の判断で自身の満足の為に働くことができる。要は「生活と引き換えに働くこと」からの解放です。
そのような生活を送れるのは極わずかの才能を持った一部の人であると思い込んではいるのではないでしょうか。
まず、お金に関する知識がしっかりあれば、”早期の引退”は誰しもが到達可能なものであると意識を変えることから始めてみましょう。
「引退」=アクティブで楽しいもの というマインドチェンジが重要
7レベルの経済状況
その“引退”をするために、”経済的自立”する必要があります。
ではその“経済的自立”を達成するために、まずは自身の経済状況の現在位置を正確に確認しなければなりません。
著書では、以下のように経済状況を「7レベル」で分けています。
- Lv1.”明確化”:自分の現状と行き先を把握。
- Lv2.”自給自足”:自分の支出を自分の収入でまかなう。
- Lv3.”一息つける余裕”:その日暮らしからの脱却。
- Lv4.”安定”:6ヶ月分の生活費を貯め、クレジットカードの借金を返済済み。
- Lv5.”柔軟”:2年分の生活費を投資済み。
- Lv6.”経済的自立”:投資からの収入だけで暮らせる、働くことが選択肢となる。
- Lv7.”有り余る富”:自分が必要とする以上のお金を手に入れる。
ご自身の経済状況はどの段階にあるでしょうか?
上記の内、”経済的自立”は、Lv6に位置しています。そもそも“経済的自立”とは、“自身の生活費を投資収入のみで賄うことができる状態”を表しています。
しかし、著者は「投資して収入を上げろ」ということだけ伝えたいのではありません。FIREの先頭2文字である、Financial Independence(経済的自立)こそ重要だと述べています。
正しい金融知識を身につけながら1段ずつ段階を確実に上げていく。その過程を経て“経済的自立”を達成していく。
これは特定の職業の人や人種、性別、年齢に関わらず万人が目指すべき場所、としています。
単に収入を上げるのではなく経済的自立こそが重要
経済状況のレベルを上げるために5つのステップ
それでは、経済状況のレベルを上げるためにはどのような方法を実践していくとよいのでしょうか。
著書では以下のように「5ステップ」で説明されています。
- Step1:目標金額設定
- Step2:資産把握
- Step3:支出カット
- Step4:収入アップ
- Step5:投資
Step1:目標金額設定
自身にとってどのくらいの資産があれば引退するのか、このステップではゴール設定であるこの目標金額を明確に設定します。
なお、金額は「年間支出額×25」で算出します。
例えば、年間の支出額が400万円だった場合、400万円×25=1億円と計算するのです。
Step2:資産把握
このステップでは自身の収入と支出、そして資産状況を正確に把握します。
例えば、現状の資産が3,000万円あるのであれば、最初から運用して増やしていくことも視野に入るでしょう(この場合、step5が重要)。
一方、資産が10万円しかないのであれば、まずは仕事をして資産をつくることから始めなければなりません (この場合、step3と4が重要) 。
Step3:支出カット
自分自身の適正な生活費を算出し、無駄な支出をカットします。
年収が1,000万円あったとしても、教育費や住宅費、医療費など支出に多くを捻出していては、資産を形成していくことができません。
もちろん、必要な支出はありますが、全ての支出を本当に必要なものかどうか検討していくことが大切です。
Step4.収入アップ
4つめのステップで、現在の雇用先にて成果を上げつつ、副業を小さくそして複数始めます。
また、副業の中で自身の肌に合った、そして収益がでている事業を起業します。
どの副業が自分に合っているか、またどの副業が稼げるか分からないため、副業を複数始めるのがおすすめ
Step5.投資アップ
並行して、収益を投資に回します。
複利の力を最大限に利用するため、「長期運用」で「インデックス投資」するとよいでしょう。
インデックス投資とは「特定の指数と連動した値動きを目指す」投資方法。
日経平均株価などに連動する投資信託に投資することなどで簡単に始められる。
短期間で大きな利益を上げることは難しいが、長期的に着実に利益を上げやすい。
トリニティスタディ論文によると、資産の4%を毎年取り崩してその範囲で生活できれば資産は減ることなく、運用し続けられる可能性が高いとされています。
例えば、1億円の資産をつくれば、その資産をインデックス投資などの方法により運用し、年間4~5%を収入として得て、その収入の一部を生活費に充てることで、資産運用だけで生活していけるというわけです。
まとめ
FIREを達成する方法の1つを紹介しました。
これらの方法を丁寧に実践し、金融リテラシーを身につけながら経済的自立を達成していくことでFIREの実践につなげられるでしょう。
大切なことは素直にマインドチェンジすること。世の中には「お金が有限で、時間が無限である」かのように暮らしている人は非常に多いものです。
「同じ品物だけど100円安いからといって電車賃300円支払って往復1時間かけて買いに行く」人を見たらどう思うでしょうか。
お金よりも時間の方がはるかに大事であると再認識することがとても大切です。事業拡大や投資如何によってはお金を無限に稼げることができるでしょう。しかし時間とは本来命であり誰にとっても有限なのです。
「足るを知る」という言葉のように、無限の中から本当に自分にとって必要なのはどれくらいなのかを自分自身が知ることが大切です。
死ぬ間際に一番のお金持ちになってもしょうがない、死ぬときに後悔しないように、人生を心の底から楽しむために、今日から小さくスタートすることが大切だといえるでしょう。
明治学院大学卒業。金融機関と住宅会社に勤めた後にそれらの経験を活かしたライターとして独立。2020年に合同会社7pocketsを設立しました。FP2級技能士(AFP)、宅建士